アース・シェイキング

　

船釣りが好きな人はひょっとしたら地震に強いのかもしれない。先の日曜日昼過ぎのこと、休日出勤していたら、地震があって二階の事務室がふわふわ動いた。同室の人達が、「地震や！」とびっくり顔で腰を浮かしたが、私は平気で“あぁ動いとる”と思っただけ。船に乗っているみたいに身体が揺れて、海はええ凪（なぎ）かなぁと、遊び心が顔をもたげた。で、思うのだが、このところ頻繁に地震がある伊豆あたりでは、船酔に苦しまれる方が居られるのではなかろうか。船に乗っての船酔いなら陸に上がれば治るが、陸が揺れていては逃げる所がない。まさか、「では船に乗ります」というわけにもゆくまいから湯船（風呂）にでも入りますか。でもねぇ、以前私クルーズフェリー（長距離フェリー）の展望浴槽に入ったことがあるけど、あれは船の中の船に乗ったみたいでとりわけ船酔しやすそうだった。

愛知県豊橋は震度五だったそうだ。新幹線がしばらく運休。やはり伊豆も揺れて震度３だったとか。熱海の湯も揺れたかしら。

　　◇　　◇　　◇

地べたが揺れる「動地」（シェイク・アース）にはだれも馴染めなくて気味悪いようだが、「驚天動地」の「驚天」の方には、字面に反して皆さん以外と平気のようだ。もう４年も前になると思うが、動燃がフランスからプルトニウムを日本に運ぶ際、抗議運動が盛り上がったことがあった。だけど船が着いたら抗議の嵐も止んで、また元の静けさだ。あのプルトニウムが、今回事故を起こした茨城県東海村の動燃施設にまだ何百トンもある。もんじゅのナトリウム流出事故以来行き先を失って東海村に居座っている。その後他へ移送されたとは聞かないから、六百 トンから千トンくらいはあるのではないか。これがもし爆発していたら、大気中に漏れだして、茨城県に近い首都東京辺りは今頃壊滅していただろう。

　　◇　　◇　　◇

我が国は他国に比して治安のよい国だとよく聞くけどほんとかな。カッパライや泥棒や追剥を捕まえるのがいくら上手でも、大事故へ備えがなくてはどうしようもない。もし、オームみたいなのが、或いはペルーのテロ集団の子分みたいなのが、プルトニウム保管中の建物を占拠したら大変だ。ピストルでも機関銃でも大砲でも、何でも構わんからガードマンに持たせてプルトニウムを守らにぁ。怪しいやつが近づいて来たら、弾丸の雨を降らせて、悪漢を穴だらけにする。でもダメだ。外側を守っても中身がええかげんでは。外側だけ守ってもせいがない。おちおち釣りになんぞ行ってられない。ほ〜んと、枕を高くして眠れんです。

　ナマズどの　散らせたもうな　春の花